パタンッ

と、扉が閉まる音が鳴るまでオウンウェイの扉は音を出しません。
音が鳴ってからでは出遅れてしまいます…

え?なんの話?と思われる方、前回の筒井のブログをご覧ください(笑)

扉の音が聞こえてからでは、お出迎えが間に合わず、そこにはポツンと佇むお客様が…

お客様との「気配のやりとり」を主としている我々が、そんなことあってはなりません…!

そうならないように見ていないようで常に扉を気にし、ガラスに映ったシルエットや、扉を開けた時に入ってくる外気を感じご来店に備えます。

そんな、今回は「音のない」話

我々は常にサインを受け取り続けています。

メニューを畳んで、オーダーが決まった時
グラスをすっと前に出し、次を頼みたい時
いつもお話になる方が今日はそういう気分じゃない時
お財布を用意してお会計してほしい時…

お客様の小さな仕草ひとつひとつが、「気づいてもらえるか?」
という問いかけのようにさえ感じられる。

その問いに、行動で応えられたとき、
「また来るよ」という、約束をもらえるような気がします。

今、沈黙であるべきか、会話をするべきか、ほんの少しの仕草や目の動き、指先の動きを観察しながら視線は送らずとも、常に気配を感じられるようにする。

日々それを意識していると時折

「今、頼もうと思ったのに何でわかったの?」
という言葉をいただいたり

お客様自身が気づいていない、ご所望のオーダーを提供できたり、まったく、会話をしないのに、リピートしてくださるお客様がいらしたり。

言葉という「音」を介さないサービスの先にあるお客様自身が気づいていない、気持ちや感情に行きつく時、バーテンダーである醍醐味を感じます。

空になったグラスに対しただ、おかわりを聞くのではなく

「もう一杯を悩んでいるのか」
「もうお帰りになるのか」
「お相手に合わせているのか」

そんな気持ちを、グラスから読み取る。

ぐいぐい行き過ぎず、放置せず。
距離はあれども、意識は近くに
我々を意識しない「適度な距離感」を
無言の中にも「気づかれない配慮」を

グラスが空になった氷の音や
椅子を引く音
グラスを置く音や
お客様同士の会話の声

そのすべてを肌身で感じて、自分の「動き」を変える。

そうして今日も、扉を開けたその先のちょっとした非日常を演出していきます。

なんて、すごく自身のハードルを上げた気がしますが(^▽^;)
今宵もカウンターでお待ちしております

オウンウェイ
飯塚