効率よりも、削る時間を選ぶ理由
BARでオーダーする醍醐味のひとつでもある丸氷。
丸氷は日本が始まりと言われています。
オウンウェイの丸氷は、型で作るものではなく、ひとつひとつピックで削って仕上げています。
正直に言えば、効率は良くありません。
今は丸氷を作るための専用の道具もあるし、氷屋さんが完成度の高い丸氷を安定して販売してくれる時代です。コストや時間を考えれば、手作業で作る丸氷は、もう時代遅れなのかもしれません。
私は普段、効率化が嫌いなタイプではありません。
システムを一本化することや、作業を分担して無駄を減らすこと――いわゆる分業や業務の効率化、ワークフローの最適化といった考え方は、むしろ好きな方です。合理的であることは、長くお店を続けるためにとても大切だと思っています。
それでも、丸氷だけは削りたい。
なぜなのか、ずっと自分でもはっきり言葉にできずにいました。
ある日、トリュフチョコレートを丸める作業をしているとき、ふと気づいたことがあります。
私は「いかにきれいに、いかに同じ大きさで、いかに正確に丸められるか」を考えながら手を動かす時間が、昔から好きでした。ただの単調な作業のはずなのに、そこには集中と小さな達成感があります。
その感覚が、丸氷を削る時間と重なりました。
最近、AIが人間のような受け答えをすることに、多くの人が驚きや興味を抱いています。
一方で、人が機械のような精巧さや正確さを見せたときにも、私たちはどこか魅力を感じるのではないでしょうか。
きれいに削られた丸氷。
それを人の手が作っている、という事実。
そこに特別な意味があるかどうかは、もしかしたら飲み手の方には関係ないのかもしれません。でも、BARという場所には、そうした「なくても困らないけれど、あると心に残るもの」が確かに存在している気がします。
効率や合理性が進めば進むほど、あえて手間をかける行為そのものが、空間の温度をつくる。
だから今日も、カウンターで氷を削っています。
グラスの中でゆっくり溶けていく、その一瞬まで含めて、BARの時間になるといいなと思います。
そして、そうした時間を日々重ねながら、オウンウェイはこの2月で4周年を迎えます。
ささやかではありますが、感謝の気持ちを込めたキャンペーンもご用意しています。
初めての方も、しばらく間が空いていた方も、ふと思い出した夜に、気軽に立ち寄っていただけたら嬉しいです。
今宵もカウンターで、
丸氷を削りながら…
お会いできるのを心待ちにしております。
飯塚