春が訪れる
夏は去り行く
秋が深まる
冬を迎える

四季の表現に用いられる、この美しい日本語が好きです。

毎年のことながら、この季節の変わり目は少し物悲しく、切ない気持ちになります。

早く終わって欲しいと思う強い勢力を振りかざした夏も、いざ終わりを迎えると、その分寂しさを感じるようになります。

暑い暑いと言っていたけど、本当は夏が好きだったんだな、と気付かされます。

『夏は去り行く』

終わってしまうこの去り際に、夏を愛おしく思う気持ちは、昔の人も同じだったのでしょうか。

夏の後に来る秋は、情緒溢れる大人の季節です。
夏や冬のように強い主張をすることはありませんが、静かな秋を慈しむ感覚がないと、なんとなく過ぎてしまう季節なのかもしれません。
秋はひっそりと街を景色を、黄色くそして、紅く染めていきます。

『秋が深まる』

日本の侘び寂びが詰まったこの季節、秋がより秋らしくなるその様を『深まる』と言った先人の表現は、本当に素敵だと思います。

9月ももう半ばを過ぎました。

今年はより深い茜色の秋を、嗜みたいと思います。

筒井