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アイルランド研修旅行 - 溝の口店須貝竜太

2014年10月

3日目

午前中はベイリーズ工場へ。

チョコレート系の甘いものが好きな自分にとってベイリーズは普段からよくカクテルに使うリキュールの一つで、リキュールの工場見学は人生で初めての体験だった。

いくつか興味深い話をあげておく。

1974年から右肩上がりで、現在では年間650万ケース生産しているようで、アイルランドの全ウィスキー、スピリッツを合わせても50%はベイリーズがシェアしている。

出荷先は主にアメリカ、イギリス、カナダ、デューティーフリー、ドイツorスペインの順で次いでシンガポール圏(日本はシンガポール経由で輸入)が多いようである。

また、ベイリーズを作る際の構成比率はミルク12%、糖分16%、アルコール15%その他バニラ、カカオ、オレンジピールなどの副材料フレーバーで成り立つ。材料の80%はアイルランド産でミルクに至っては40000頭のベイリーズ用の牛がいるそう(27500?分のミルク)。
しかも驚きなのはミスコンならぬ、うしコン!(笑)

40000頭の牛のうち、どの牛が可愛いかを決めるもので、爪の手入れ、毛並み、乳の形、体系で決めて表彰するらしい…。

海外の方は何やるにも楽しんでやるのが当たり前なのだと感じた。

また、アルコールはベースに60%程のブッシュミルズを使用。
これらこだわりの材料をバランス良く調合し、一番大事なのはフレーバーをいかに長く持続させるか。
他のリキュールと違うのはベースにアルコールの高いブッシュミルズを使っているので賞味期限が24カ月になっている。
工場見学ではその日稼働している生産工程は少なかったが、一番目を引いたのは商品の管理体制だった。
最初にコントロール室を見てそこで全体の作業工程をモニターで確認し、また別の部屋で管理できるようになっていた。
管理項目はセーフティ、クオリティ、生産性、コスト、進行度合、翌日・翌週の目標、材料が足りているか否か、個々の担当請持ちのチェック、電気ガス水道の使用料金と非常に細かい。
それらをどこまで達成していて、何が問題なのか瞬時に見分けなければならないとのことで、項目ごとに赤と緑の二色のみでYESかNOが分かるようになっていた。
また、これだけの項目をミーティングするのに20分以内で、ミーティングでは誰がその日に何をやるのか明確に示唆するだけのこと。
全60人をマネージメントするのにこのスマートさは凄い!見習いたい。
ただ材料などにこだわるだけでなく職員個々の意識、モチベーションの向上に力を入れているからこそベイリーズがここまで需要も拡大しているのだと思った。

午後はギネスストアハウスと醸造所見学へ。

一般の方はギネスのストアハウスしか入れないらしく、醸造所内を見れたのはお酒に携わる人間として嬉しい。

醸造所は2009年で250年を迎え、今日までに4回施設を立て替えている。

現在は今年10月に稼働したばかりの醸造所になっておりキルケニーやカールスバーグもこちらで造られていて、世界で一番大きな醸造所になっている。

昔はすべて手作業でやっていたことが、最新の施設になってからはすべてボタン一つのオートメーション化になっている。

ギネスには2種類の麦が使われていて、通常の白い大麦と黒いローストされた大麦、そのうちローストされている方は僅か8%〜10%しか使われていないとのこと。その時の麦のできにより割合が違うそうだ。

樽は30リットル、50リットルがあるが日本の規格は15?で、国内からアイルランドに樽を送り、醸造所内で樽に詰めて再び日本に出荷している。 この辺はうやむやな感じがしたがそう捉えられた。

醸造所を一通り周り、最後にギネスの試飲をしたのだが、ここでギネスの正しい飲み方を教えて頂いた。

@背筋を伸ばす
Aギネスを持ち肘を水平に
B大きく深呼吸
C口いっぱいにギネスを含み口の中でしばらく転がす
D飲みこんだ後に息を吐く

そうするとギネスのフレーバーが鼻から喉に抜け、余韻も長く感じられるとのこと。 皆さんも是非試してください(笑)

最後の夜は市内のパブを2軒ほどまわった。

1軒はアイルランド最古のパブで「THE BRAZEN HEAD」。こちらは1198年創業で鎌倉時代頃からあった…???

夜はライブ音楽で賑わい観光客で溢れていた。

環境を考え、蒸留時にできるカス(POTAL)はシロップにして地元の農家の人に販売したりと無駄がないところも今回の見学、セミナーでブッシュミルズを好きになったところの一つ。

今回はこのような貴重な経験ができ、招待して頂いたキリンディアジオさん、同行した方々、予備知識を頂いたお客様、留守を守ってくれたスタッフ、皆に感謝しております。

本当にありがとうございました。

溝の口店 マネージャー 

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